私のテニス理論

■ なわとびの奨め

 

 現在、TTN テニス練習会では、練習前のウォーミングアップになわとびを取り入れています。ジャパンオープンで優勝したニコラス・キーファー選手も練習前にはちゃんとなわとびを取り入れていました。トッププロが取り入れているからにはそれなりの理由があるはずですよね..

 



■なわとびのできる参加者はほとんどいない■

 「なわとびなんて誰だってできるよー」と思われるでしょうが、TTN テニス練習会の参加者の中で、なわとびをできる人はほとんどいません。正確に言えばテニスをするために有効ななわとびができる人はほとんどいません。具体的には、手首がガチガチなのです。そのため、なわを回すために腕全体を大きく回してしまうのです。特に後ろ回しで手首を主体に回してなわとびができた人はいままでの参加者の中で一人もいません。しかし、どんな人でも(個人差はありますが)柔らかく手首を回して跳ぶことを意識して跳んでいるうちに、手全体の動きが小さくなり、手首も徐々に柔らかくなってきます。

■モダンなテニスには手首の柔らかさが重要■

 柔らかい手首の動きは、現代のモダンなテニスをする上で非常に重要です。ウッドのラケットが主流だった時代には、「手首は固定して打つ」などと言うことが日本では常識としてまかり通っていたようですが、現代のテニスでは手首を固めることはどんなプレーにおいてもほとんど役に立ちません。

 なわとびは手首の動きを柔らかくするために最適な道具です。なわとびの前回しの手首の動きはバックハンドストロークに、後ろ回しはフォアハンドストロークの手首の動きにそのまま応用できます。

 実際のラケット操作で手首を柔らかくするとどんな利点があるのでしょう。

  1. ラケットヘッドの動きがスムースになり、その速度が加速します。
  2. 鞭を振ったとき先端が遅れてスタートし、その加速度がアップするのと同様です。ラケットを振るときも手首を柔らかくし、腕全体を鞭のようにしなやかにしならせましょう。
  3. 正しいラケット面が容易に作れ、それをキープすることが可能になります。
  4. ふつう、トップスピンでストロークを打つ場合、ラケットを低いところから上に向かって振り上げますが、このとき手首を固めてしまうと、ラケット面は自ずと上を向いてしまいます。打球は当然ホームランになります。つまりトップスピンを打つ際、ラケット面を一定に保ちたい場合、手首を一定に保っておくことは不可能なのです。
     また、手首が硬いと、テイクバックの際にラケットヘッドが下がらず、トップスピンが巧くかからなくなります。
  5. 怪我が減ります
  6. 手首を柔らかくするには当然リラックスさせる必要がありますので、怪我の防止にもなります。

■筋肉を暖めからストレッチしよう■

 なわとびをするときは当然ジャンプしますので、自然に足の筋肉を暖めます。ですからなわとびはストレッチングの前に行ってください。暖まる前の筋肉をいくら伸ばそうとしてもその効果は低くなります。

 なわとびを持つと二重回しをしたがる人がいますが、暖まる前の段階でこのような激しい動きをしては体を痛めますので決してやってはいけません。

■リズムキープがテニスに重要■

 TTN テニス練習会では、まずはじめにボールを打つ際には、ミニ・ストロークから始めます。ところが参加者のほとんどは、ボールを打ち終わると同時に足が止まってしまいます。つまり、ストロークを打つ際に体の中にテンポを持っていないのです。体の中にテンポを持っていれば、足が止まったときに強烈な違和感を感じるはずです。体の中に一定のリズムをキープするためにもなわとびは役に立ちます。手と足のリズムが自ずと協調するからです。二重跳びなど高度な跳びかたは必要ありませんので、リラックスして一定のリズムをキープしながら跳ぶようにしましょう。リズムが不安定だと当然なわが足に引っかかります。
 プロの試合のビデオで試合前の5ミニッツ・プラクティスの様子をお持ちでしたら観察してみてください。プロの選手は必ず一定のリズムに乗りながらそれを行っていることが解ると思います。
 TTN テニス練習会の参加者のみなさんには、何か1曲お気に入りの8ビートの軽快な曲を準備し、それを頭の中で口ずさみながらラリーをすることを奨めています。

■ボールが打てない場所でもなわとびはできる■

 エントリーする草トーによっては、試合前に全くボールを打たせてくれないところも多いですが、そんなときにもこのなわとびが役に立ちます。なわとびをするスペースくらいはどんな会場にもあることでしょう。腕の関節、筋肉をリラックスさせて、足の筋肉も暖めましょう。

■とび方■

 なわとびをする前に、まずは軽くランニングを行いましょう。ランニングは超スローペース(この間に走りながら腕や手首も回してほぐしておく)から徐々に速度を上げ、少し暖まってきたところで、
・サイドステップ
・キャリオカステップ
・もも上げ
・踵上げ
・逆走
・逆走-もも上げ
・逆走-踵上げ
・大股走り
・スキップ
など、バリエーションをつけてください。ここからなわとびです。

はじめはスローの前回しで、徐々に速度を上げていきます。慣れてきたところで、ロープの回転速度にメリハリをつけ、足を通過する瞬間を目指してロープを加速させる練習をします。ロープの風きり音がビュンビュンいうようにします。手首から肱までもがロープであるかのように柔らかくしなやかに回しましょう。これがラケットヘッドの加速に応用できます。このとき決して力まないようにしてください。加速のじゃまをするもの、それは力みです。

後ろ回しも同様に行いますが、後ろ回しでロープを加速するのは、はじめはとても難しいです。つまりフォアハンドストロークで手首を使用してラケットヘッドを加速するのは非常に難しいということです。手首のぎこちない動きがラケットフェースを狂わせます。手首の動きがスムースになるまで、手首を使用したラケットヘッドの加速は行わない方がよいかもしれません。なわとびをたくさん練習して手首を鍛えましょう。

あとは、片足で2ステップずつ交互にとぶ練習をしましょう。足を変えても上体がふらふらしないようにバランスをとってください。というのはテニスのフットワークでは片足で体重のバランスをとることが多いからです。

2ステップでのロープの加速もトライしてみてください。

以上、すべてにおいてリズムがスムースに流れていることがとても重要です。リズム感のよい人はテニスもうまくなるといっても過言ではありません。

 

さあ、明日からあなたのテニスバッグの中にも「なわとび」を常備しましょう!

 

 

 


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